PCX125 キャリパー オーバーホール

HONDA PCX125
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前回の投稿に書いたとおり、PCX125 のフロントブレーキが引きずっている。6年間、ブレーキフルードもブレーキパッドも交換せず、乗りっぱなしだったせいだと猛省しているところ。

ブレーキパッドを交換した翌日、ブレーキが引きずっていることを認識しながらも往復14kmの通勤に使用した。帰宅後、フロントのブレーキディスクを触ってみると熱々になっていた。こりゃいかん。ということで、キャリパーのオーバーホールを決意。

すぐに必要なシールセットとクラッシュワッシャー、ピストンツールを注文。

ご覧の方には大変申し訳ないが、今回も手が汚れまくったために写真はない。オーバーホールに必要なものは、上の写真にある物に加えて、ブレーキフルード、シリコーングリス。

以下の作業を行う場合は、自己責任で。やってみると出来ないことはない作業だったが、命を預けるブレーキだけに、不安のある方はプロにお願いをした方が良い。

 オーバーホールの手順

オーバーホールの簡単な作業手順は以下のとおり。

  1. キャリパーを外す
  2. ブレーキパッドを外す
  3. ブレーキフルードを抜く
  4. キャリパーをブレーキホースから外す
  5. キャリパーピストンを抜く
  6. オイルシール・ダストシールを外す
  7. キャリパーを洗浄する

2.のパッドピン、3.のブレーキホースはキャリパーが車体に固定された状態でないと力が逃げてナットが緩みにくいので、予め緩めておくことをオススメする。なお、ブレーキホースは緩め過ぎると、その時点でブレーキフルードがドボドボ流れ始めるので要注意。

4.でキャリパーを取り外す時、ブレーキホースの末端をウエスなどで包んでやると、ブレーキホース内に残ったフルードがポタポタと地面に流れ落ちるのを防ぐことができる。

5.でキャリパーピストンを抜くのは、上の写真にあるピストンツールを使うべき。オイルフルードを抜く前ならば、ブレーキレバーをニギニギすればキャリパーピストンを抜くことができるのだが、今後のメンテナンスを考えると、ピストンツールは専用品を購入することをオススメする。初めて使ったのだが、感動するくらいに簡単にキャリパーピストンを動かせる。これは他のツールでは代用できないと思う。

6.のオイルシール、ダストシールは他のブログ・YouTubeでは簡単に「取り外す」と書かれているが、これが案外難しかった。何せ、ブレーキフルードを漏らさないようキャリパーピストンをシリンダー内にぴったり密着させる部品だから、精密にシリンダーの溝にハマっている。先が尖った物で引きずり出そうとしても、シリンダーに傷を付けそうで躊躇してしまう。私は、ラジオペンチでシリンダーに触れないように、シールを強くつまんで引きずり出した(何度も失敗した)。

7.の洗浄作業では、特にキャリパーピストンの「磨き」を丁寧に行った。長年のダメージが蓄積しており、多少の腐食も見られたが、「ピカール」を使って、何度も磨いてなるべくピストンの戻りを邪魔しないように心がけた。

 組み付けの手順

続いて、組み付けの手順。

  1. 新品のオイルシール・ダストシールをはめる
  2. キャリパーピストンをはめる
  3. ブレーキパッドをはめる
  4. キャリパーを車体に装着する
  5. キャリパーにブレーキホースを接続する
  6. オイルフルードを充填する
  7. エア抜きをする

1.ではオイルシール・ダストシールにシリコーングリスを塗ってから、シリンダー内の溝にはめる。精度が高いので、パコッと簡単にはまる。

2.でもキャリパーピストンにシリコーングリスを塗ってから、シリンダーにはめる。

5.でキャリパーにブレーキホースを接続する際には、新品のクラッシュワッシャーを使わなければならない(らしい)。名前から「潰れて密着効果を高める(発揮する)」ワッシャーだと思われるから、一旦取り外すとフルード漏れの原因になる可能性があるのだろう。

7.エア抜きは、しばらくブレーキレバーをニギニギしていると、リザーバータンクからポコポコと小さな泡が出てくるので、根気よく続ける。時々、空気が上に抜けるようブレーキホースやキャリパーをトントン叩いてみた。徐々にブレーキに抵抗が感じられるようになるので、そこからはキャリパー側でエア抜きをする。キャリパーのバルブにチューブをセットして、①ブレーキレバーを握る②バルブのナットを緩める③フルードとともに空気がチューブ内に出てくる④ブレーキレバーを握ったままバルブのナットを締めるを何度か繰り返す。(バルブのナットを締める前にブレーキレバーを離してしまうと、チューブ内に出てきた空気がまたキャリパー内に吸い込まれてしまうので注意。)

上記のほか PCX125 特有の作業といえば、コンビブレーキ側に関わるもの。

  1. シートを外す
  2. インナーカウル一式を外す
  3. コンビブレーキのフルード充填、エア抜き

私は、作業が続いて疲れていたこともあるが、コンビブレーキのエア抜きがきちんと出来ていなかったようで、リアブレーキを操作した際のフロント側が効いていない感じがする。近日中に時間を見つけて上記1.〜3.の作業を行いたい。

 オーバーホール後の走行レビュー

覚悟を決めてキャリパーオーバーホールにチャレンジしてみた。想像していた以上に、無難に作業を終えることができた印象。これも偏に、先人たちがブログや動画を公開してくれているからこそ。作業前の予習はとても重要だ。

オーバーホール後のレビューは以下のとおり。

「ブレーキレバーの操作にリニアに反応する」

ブレーキを握った分、「無段階に」「握った分だけ」ブレーキが効く。私の場合、信号で停止をする際には、グッと立ち上がりに効かせて、少しブレーキを緩めて(空走または少しブレーキを効かせながら)意図した位置でグッと握り込んでピタッと停止するのだが、この「効かせて」→「緩めて」→「グッ」と言う調整が思いのまま、気持ち良くできるようになった。

ただ、少しだけ残念なのだけど、ここまでしても「前輪が無抵抗で回転する」という状況にはならなかった。もちろん、以前よりは引きずり感が軽減しているし、走行後のローターの熱も下がっているのは確か。ただ、ロードバイクなどでは確実に無抵抗となるようブレーキを調整していたことを考えると、やはり残念。ただ、色々調べてみると、ディスクブレーキはキャリパーピストンを戻す力は働かず、ほんの少し引きずった状態がデフォルトという意見もあるようだ。

真偽は定かではないが、ここまで丁寧にオーバーホールをしても取り回しの際に、若干の抵抗(スーッと音がする)があることを考えると、「ほんの少しの引きずりがデフォ」という考えに賛同したくなる。

最後にひとつだけ気になっているのは「パッドピンの劣化」。パッドピンはブレーキパッドをキャリパーに固定するための部品で、パッドの動きにも影響する(はずの)部品だが、実は今回のオーバーホールではパッドピンの表面がデコボコになっていたのだ。新品を購入していなかったので、ピカールで軽く磨いたものの、デコボコを大きく改善できないままに装着してしまった。このデコボコが、ブレーキパッドの動きを阻害して、相変わらずの引きずりを誘発させているのではないかと、少しだけ疑っている。こちらも、近日中に部品を調達して改善を図ってみたい。

次回、給油で燃費が改善されたりすると、改善効果を実感できるのだが。

(2019.8.11追記)

PCX125の購入当初は、一般に燃費が悪化すると言われる真冬でも40km/ lを下回ることはなかったのだが、ウエイトローラーなど駆動系のカスタム以降は40km/lを若干下回るようになっていた。それがキャリパーオーバーホール直前には36km/l程度まで悪化の一途をたどっていた。

キャリパーオーバーホールの時点で燃料を少し消費していたのだが、その後の給油時点で以前よりも燃費が向上しており、フロントブレーキの引きずりが解消されて燃費が向上したのでは?と期待していた。今回(満タン→満タン)の燃費計測でキャリパーオーバーホールが燃費に好影響を及ぼしていることが確信に変わった。久しぶりに46.13km/lという好成績を記録!もちろん、通勤メインで使っており、長距離を走るような機会はなかった。満タン計測なので、もちろん誤差はあると思うが、いつもギリギリまで給油するので、大きな誤差はないものと思う。次回の給油まで様子を見る必要はあるが、つまり駆動系のカスタム以降の悪化も含めて、フロントブレーキの引きずりが原因だった可能性もある。夏場は燃費が向上するから決め付ける訳にはいかないけど、キャリパーオーバーホールのおかげでPCX125の低燃費性能が蘇って嬉しい限りだ。

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