購入から7ヵ月が経過したボンネビルT100。購入時、前のオーナーが2019年5月に1年点検でオイル交換してから4ヵ月、走行距離100kmほどだったためオイル交換はしなかった。
購入後の走行距離は2,500kmで、前回のオイル交換からほんの2,600km程度だが、時間軸でみると1年が経過するため、オイル交換することにした。ここのところ、ニュートラルの入りが悪いような気がしてきたのもきっかけのひとつ。
ショップでオイルフィルター込みの交換費用は15,000円ほどかかるらしく(記憶が定かではない)、少しでも費用を抑えようと、また外出自粛中の退屈しのぎにもなると考え、DIYに挑戦することにした。
ネットで色々調べても、現行型(水冷)のボンネビルT100のオイル交換に関する情報は少なく苦労したため、備忘録を兼ねて記録に残しておく。なお、今回も作業に没頭したため写真は少ない。
まず、インターネットや店舗で購入したものがこちら。
◯オイル
トライアンフの推奨オイルはカストロール。今回購入した「Power 1」の上位に「Power 1 Racing」というグレードもあるのだが、主に低速・低回転で利用するT100にはオーバースペックだろうと考え、「Power 1 10W-40」をチョイス。夏場に向けて15W-50にしようかと考えたが、今回は標準仕様を選択した。
◯オイルフィルター
純正のオイルフィルターはアマゾンで欠品中だったため、連休中に作業を行いたく社外品をチョイス。先人たちの情報を頼りにしても、どれも空冷ボンネビルの情報ばかりで、水冷ボンネビルの情報が得られず苦労した。そんな中、やっと出会った適合情報。ホームページの適合情報によれば「キジマ」のオイルフィルターが水冷ボンネビルに適合するらしいのだ。ただ、「オイルフィルター カートリッジ マグネットイン(105-833)」の商品情報には以下のとおり記載されている。
うーっ、惜しいっ!
私のT100は2018年式。水冷は2017年に発売されたはずだから、2017年式が適合というのなら私の水冷ボンネビルT100にも適合するはず。しかし待てよ。年度途中のモデルチェンジであれば、2017年の前半には空冷が製造されていたのでは?この記載が空冷のことを意味しているなら、私の水冷ボンネビルには適合しないのか??いやいや、隣に記載されているT120は2016年に水冷モデルとしてデビューしたはずだから、ここの記載は水冷モデルを意味するはずで、ならばT100も水冷を含むはずだ…と逡巡を繰り返し、オイルフィルターの選定にやたらと時間をかけてしまった。結論を先に言うと、これで問題がないようだ(いまだに確信が持てない 笑)。内部の形状の違いは分からないが、少なくともスルスルとハマったから。
◯フィルターレンチ
PCX125はオイルフィルターが要らないしSR400は内蔵式だから、これまでカートリッジ式のオイルフィルターを交換したことがなかった。今後も、DIYでT100のオイル交換を続けていくだろうし、トルク管理を行ったほうが良いだろうと、フィルターレンチを購入した。
◯オイルじょうご
SR400とPCX125ではオイルジョッキから直接オイルを注入していたが、ボンネビルT100はオイルの使用量が多く「オイルジョッキに注ぎ足してバイクに入れる」という動作を繰り返すうちに、うっかりバイクを汚しかねないと思ってオイルじょうごを購入。妻から「じょうごなら100円均一でも買えるのに」と言われつつ、「きっとオイル専用だから耐油性とかに違いがあるんじゃない?」と無理やりの言い訳。ただ、後述するが、これがとても便利だった!
さて、まずはオイルレベルの確認。右側のオイル窓から確認するのだけど、センタースタンドのない我がボンネビルT100は直立させた状態で確認するのが大変。右手でフロントブレーキを握りながら、車体を直立させて両腕でバイクを支えつつオイル窓を確認。低い位置にあるうえ光の具合で見えづらく、また車体のちょっとした傾きで見え方が変わるので、何が正しいのか分からなくなる(笑)
現状は、オイル窓の中間くらいまで入っているらしい。
◯古いオイルの排出作業
まず、オイルを柔らかくするために5分程度アイドリングを行う。
バイクの中央下部に廃オイルを受け止める段ボールを設置し、中央左寄りに見えるドレンボルトを抜くとオイルが勢いよくドバーッと排出される。さすがに4L近いオイル量ともなると、排出に結構な時間がかかる。途中で車体右側のオイル注入口の蓋を外したり、車体を直立させたりするとしつこくオイルが出てくる。
ある程度排出したところで、いよいよオイルフィルターを取り外す。今回購入したフィルターレンチをはめると、あっけなく外れる。オイルフィルターを取り外すと、再びドバーッとオイルが排出され、手を汚さずに外すことは困難。私は、フィルターレンチも手もオイルまみれになってしまった。
ドレンボルトとオイルフィルターを取り外した状態で、車体を揺すったり直立させたりして粘り強くオイルを排出させる。
◯新しいオイルの注入作業
まず、オイルフィルターに新しいオイルを充填し、パッキンの部分にオイルを塗る。充填したオイルをこぼさないように水平を保ちながら車体に取り付ける。手で回し、最後だけフィルターレンチを使う。フィルターレンチは収まりが良すぎてオイルフィルターから外しづらいのが難点。ちなみに、締め付けトルクは10Nmとのこと。
次に、ドレンボルトを取り付ける。ドレンパッキングはオイル交換のたびに新品にしたほうが良いらしいのだけど、取り外したドレンパッキングがまるで新品のようだったので、貧乏くさく再利用。締め付けトルクは25Nmとのこと。我が家のトルクレンチは24Nmまでだったので、24Nmでカチっとなった後にもうひと回しした(トルクレンチは繊細らしいので、こういう使い方はおすすめできない)。
さて、ここで今回購入したオイルじょうごを利用。
注入口が狭いところにあるため、オイルじょうごはそのまま差し込めない(もちろんU字ロックは取り外しておく)。今回購入したオイルじょうごは伸縮可能なノズルが付属しており、これが想定以上に役立った。ノズルをオイル注入口に挿入し、蛇腹を折り曲げてじょうごを水平に設置。
まずは3Lを迷うことなく一気に注入する。
そこから200〜300mlくらいずつ注入してはオイルレベルを確認する。オイル窓から半分を越えたあたりで5分程度アイドリング。エンジン全体にオイルを行き渡らせて、再びオイルレベルを確認。すると少しオイルレベルが低下しているので、更に注ぎ足して最終的に3.7〜3.8Lほど注入(公式にもオイルフィルター交換時は3.8Lを要すると書かれている)。車体を直立させながらオイルレベルを確認し、最後に少し追加をしたのだが、今回は若干オイルを入れ過ぎたような気がする。オイル窓の上部に少しだけ隙間が見えはするが、ほぼタプタプの状態。理想は上端と中央ラインの真ん中あたりを目指してたのだけど。
ドレンボルト、オイルフィルター周辺を拭き取るとともに、廃オイルの始末、道具の片付けも行ってひととおりの作業が完了。所要1時間弱といったところ。慣れればもう少し早く完了できると思う。
メンテナンスを考えると、センタースタンドが欲しいところだ。
シルキーなエンジンフィーリング、スムーズなギアチェンジを期待しながら少しだけ試走。ところが、正直なところ何も変わった気がしない。エンジンフィーリングに変化はないし、ギアチェンジの感覚も変わらない。元々、走行距離も少なく、廃オイルもそれほど汚れていなかったから、期待するほどの変化はなくて当然なのかもしれない。
そもそもオイル交換で劇的にフィーリングが変化するのかどうかも定かではないが、これまでPCX125やSR400では、プラシーボ効果とは言い切れない程度に変化を感じていたのだけど…。ボンネビルT100の特性なのか、それともカストロール「Power 1」が残念なオイルなのか。次回は「Power 1 Racing」を試してみようかと思う。
作業そのものは、SR400と比べるとかなり楽。SR400は2ヵ所から排出しなければならないし、フレーム側は養生しないといけないから少しだけ面倒だ。その点、ボンネビルT100はオイルレベルの確認が少々やっかいなだけで、排出と注入そのものは極めて簡単。今後もオイル交換は問題なくDIYでやっていけそうだ。