BMW R100RS オイル漏れを防げ!

BMW R100RS
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久しぶりの投稿。今回は、ついに敢行したプッシュロッドからのオイル漏れ対策。ここで紹介する全ての内容は、文系頭のど素人が試したものであり、作業を行う際は自己責任でお願いします。

さて、メモ代わりにまずは余談をつぶやくと、2023年の夏は久しぶりの家族旅行で慌ただしかったこと、あまりの暑さのために日中の外出が億劫になっていたこと、そして極め付けはプッシュロッドからのオイル漏れが気になってバイクに乗る気が失せていたことといった悪条件が重なり、ほとんどR100RSに乗ることはなかった。

本題に入る前にもうひとつ余談ながら車検について。購入から1年3ヵ月が経った2023年6月、車検満了を迎えるため、Bonneville T100 以来2度目のユーザー車検にトライした。検査ラインに並んで、それまでハンドルロックをしたことがないことを思い出し、焦ってラインから外れハンドルロックの方法を調べたり、プッシュロッドからのオイル漏れ周辺を入念にチェックされ(当日の朝、綺麗に拭いていたのだけど)冷や汗をかいたりと、今振り返れば良き思い出。光軸は再検査となったものの、旧車の割にすんなり合格。

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プロジェクト始動

閑話休題。秋を迎え、いよいよオイル漏れ対策のため重い腰を上げた。オイル漏れの原因は、プッシュロッドの付け根にあるグロメットシールが硬化しているためと思われるが、自力で対策する自信と気力がなく、ここはお金で解決?と考えて、最寄りのBMW Motorradに相談してみた。

すると、シール交換で工賃・部品代込み6.6万円との見積もりに加えて、走行距離を考えるとロッカーアームのニードルベアリングも交換が必要とのことでプランジャー(←何?)も合わせて交換すると別途10万円が必要とのこと。「お金で解決?」と一丁前のことを考えておきながら、合計17万円近い見積もりは流石に想定外でヒヨってしまった私。見積もりをいただいておりながら大変申し訳ないものの、悩むまでもなく、ここはDIYで挑戦してみることにした。気力が湧かない中、「こんなに楽しい作業をお金を払ってまで誰かにやってもらうなんて勿体無い!」と自らを奮い立たせた(もちろん安全に関わる作業は、プロに任せるに越したことはないです)。

部品調達

さて、DIYで挑戦するために部品・工具を調達。

エギゾーストナットレンチ(今後、どれくらいの頻度で使うかも分からないのに)、高耐熱ペースト、グロメットシール(4つ)、シリンダースタッドOリング11×2mm(4つ)、シリンダーベースOリング93×2.2mm(2つ)、シリンダーヘッドガスケットOEM(2つ)を輸入車ビーマーより入手。送料込み1.6万円弱。

なお、この時点でロッカーアームのニードルベアリングは未入手。

作業

タペット調整をした時と同じく、クランキングをして「OTマーク」を確認し、右側から作業に着手。キャブレターが邪魔になるので、紐で結んで後方にかわしておく。

分解

エキパイを外し、シリンダーヘッドカバー、ロッカーアーム、プッシュロッド、シリンダーヘッド、シリンダーの順に分解。ロッカーアーム、プッシュロッドあたりは左右が入れ替わらないように、分解後のパーツを並べておく。

オイルまみれになりながら、恐る恐る分解を進める。エンジンの分解そのものは特に難しいことはないが、アンダーカウルとエンジンガードが作業の邪魔になるので、外すことにした。これには結構な時間を要した。特に、エンジンガード右下のネジを外そうとすると、オイルポンプが邪魔でなかなか外せなかった。ポンプから出るオイルラインをずらして、限られたスペースにアーレンキーを挿入して何とか外すことができた。

コンロッドなどに傷をつけないよう、そして作業の合間に虫やゴミがエンジン内部に入らないようウエスで養生しておく。

ちなみに、ロッカーアームを外して内部のニードルベアリングを確認したところ、吸気側・排気側ともに下側のベアリングの一部に欠けがあった。。最終的に、左右4つのロッカーアームは全て下側のベアリングに欠けがあった。想定外の事態に作業中断。ここに至って、さすがディーラーの見立て!と感心するも、一方で「やっぱり17万円コースだったな」と冷や汗も(笑

そうそう、写真は撮っていないが、肝心のグロメットシールは、やっぱりカチコチに硬化していた。これでは柔軟性が足りず、オイル漏れを起こしてしまいそうだ。

追加部品発注

さて、ディーラーの見積もりによると1つ約5,200円するニードルベアリングが計8個必要となり、合計4万円もする!うそーん。

輸入車ビーマーでも、純正品は同額程度、リプロ品でも1つ約3,000円する。そこで救いの神ともいえる英国のMoto-binsで確認すると1つ1,800円程度で購入できる。送料はかかるが、それでも格安で入手できるため、気は焦るものの気長に待つことにした。

ついでにクラッチケーブルも一緒に注文。送料込み2.0万円ほど。

↑格安で入手したとは言え、これだけで1.6万円ほどする。国内で調達すると、まさかの4万円相当の品。

その他にも、今回の作業用に以下の品々を購入。

強力カーボン汚れ落とし、カーボンスクレーパー、ピストンリングコンプレッサー、ジェットオイラー、ベアリングプーラーセット、バイス(万力)、スナップリングプライヤー、液体ガスケット…何だかんだで結構な出費に萎える。計1.6万円ほど。

 

清掃

いつから清掃されていないのか、こんな感じでピストンやバルブ周辺はカーボン汚れまみれ。(写真は、汚れ落としをスプレーした状態)

ケミカルを吹き付けては、スクレーパーや真鍮ブラシで磨く。ただ、ピストンの上部がラウンドしているため、ケミカルが流れ落ちて効率が悪い。結局、小さな器にケミカルを吹き入れ、ピストンを逆さにして一晩浸け置くことで綺麗になった。ケミカルの匂いがキツイので、屋外に保管した方が良いが、近所迷惑にならないよう新聞で蓋をしておいた。

一晩浸け置くとカーボン汚れがホロホロになって綺麗にしやすい。でも、これが限界。まあどうせすぐにカーボン汚れって付着するだろうから、ほどほどで良いでしょう(笑)

同じ発想で、シリンダーヘッド側(バルブ周辺)の清掃もほどほどに。ケミカルを吹いても、プラグの穴からケミカルが流れ落ちてしまい、なかなかうまくいかない。ウエスで塞いでみたり、ケミカルを染み込ませたキッチンペーパーを置いてみたりしたけど、最後は「ま、いっか」の精神で。

ベアリング交換

さて、今回のプロジェクトで最大の難関だったロッカーアーム内部のニードルベアリング交換。全工程の6割くらいの時間を要したかもしれない。情報も少なくて、あれこれ試しても上手くいかず、本当に泣きそうになるほど大変だった。

最終的に、ベアリングプーラーで古いベアリングを抜き、バイスで新しいベアリングを圧入することに成功できたが、当初は、新しいベアリングを圧入するのに、ベアリングをゴムハンマーで叩き込もうとしたところ、ベアリングのシェルが歪んでしまい、Moto-binsにわざわざ新しいベアリング1個を追加注文してしまった…。

もう次の機会はないかもしれないけど、備忘メモとして残しておく。

ポイント1(抜き方)

ベアリングプーラーで古いベアリングを抜く時、アダプターのサイズが微妙(小さいアダプターではシェルを強力に保持できず、大きいアダプターはシェルに干渉して挿入できない)で、綺麗に抜けることはほとんどなかった(多分、8個中1個だけ)。多くのケースで、小さいアダプターでベアリングのシェルを破壊し、大きいアダプターで残ったシェル(ただの筒状になった状態)に強めに圧をかけて引き抜いた。

ポイント2(挿れ方)

意を決してバイスを購入し利用したのだが、それでもなお、最初は心が折れるほど大変な思いをした。今思えば横着をしたのだが、バイスを固定せずにハンドルにイレクターパイプを装着(延長)し、力ずくで圧入しようとしたところ、少し入ったところでそれはもう力の限りにハンドルを回しても回らなくなってしまった。そこで、バイスを木の板に固定したところ、劇的に作業環境が改善され、残りは割とスルスル圧入することができた。バイスは固定が肝心(当たり前?笑)。

ポイント3(挿れ方)

新しいベアリングを圧入するとき、ロッカーアーム上側は端から6mm、下側は端から2.5mmほど押し込む必要がある。この時、手持ちのKTCの14mmソケットがシンデレラフィット。ノギスで押し込み量を確認しながら慎重に圧入する。

ポイント4(ベアリングの取り扱い)

ニードルベアリングの取り扱いは慎重に行う必要がある。グリスの粘り気でシェルに収まっているが、油断するとニードルが外れてしまいえらいことになるので、バイスで圧入する際も、購入時点で装着されているプラスチックの部品(ニードル保持用部品)をつけたままにしていた。反対側のベアリングを圧入する際も、油断しないこと。

あー、思い出したくないほどに大変な作業だった。ベアリングプーラーだの、バイスだの、今後の作業で使うことがあるだろうか?と思うほど、工具だけ一丁前に揃っていくのがオソロシイ。

組み立て

組み立ての工程で苦労したのは2点。

ひとつは、ピストンリングコンプレッサーを使ってピストンをシリンダーに挿入する作業。2度目の作業になった左側は短時間で終えられたので、コツがいる。ひとつはオイルをしっかり塗布すること。次に、ピストンリングコンプレッサーにはしっかり圧をかける(締め上げる)こと。そうして、全てのピストンリングをきちんと押し込んだ状態で、真っ直ぐにシリンダーに押し込めば、意外とあっけなくスルッと入っていく。

もうひとつは、シリンダー、シリンダーヘッドと組み立てていくと、ゴムハンマーで叩いてもエンジン本体と2cmくらい離れたところで進まなくなってしまう。どんなにあれこれやっても進まないので、ロッカーアームを装着して、シリンダー一式を貫通留めしているナットを固定する(回す)と、シリンダー、シリンダーヘッドともに奥に押されて進んでいく。この時、4つのナットを少しずつ回さないと、シリンダー、シリンダーヘッドが歪んで進んでしまうので注意が必要だ。

今回、エンジン本体とシリンダーの接触面、プッシュロッドチューブのグロメットシールにはワコーズのガスケットメイクを塗布。そういえば、グロメットシールを新しく取り替えることが、当初の目的だったことを思い出す。写真を撮り忘れてしまったが、グロメットのエンジン側(溝がある方)に「|」の線がある方を下部にくるようにセットする。

また、ピストンの表面に「→」のマークがある方を排気側にセットすることも忘れずに。

 

タペット調整

タペット調整は、こちらで記載したとおり。反対側の作業を行う際には、上死点を出すことを忘れない。

クリアランスは排気側0.2mm、吸気側0.15mmに調整。

 

キャブレター同調

さて、苦手意識のあるキャブレターの同調作業。どうも、何をどうすれば良いのかが分からない。しかし今回、分からないなりに、何となく掴んだことがあるので記録しておく。

今回も、先人たちのブログを参考にしながら、バキュームメーターを使って同調作業を行ったが、やっぱりよく分からなかった。結果的にはバキュームメーターを使わなくても何とかなるのではないかと感じるに至った。

こちらの動画を紹介したい。

神戸ライダーズクラブの店主である千石氏によるキャブレターセッティングの解説だ。同氏はバキュームメーターなど使わずに、振動や音を頼りに完璧な同調作業を行っている。正直、動画を見るだけではどのような手順でやれば良いのか完全には理解できなかったが、この動画を何度か見たうえで、感覚を頼りに同調作業を行ったところ、良い感覚を得られたので、メモしておく。

アイドリング調整

前回の同調作業から日を改めて行った。暖気を終えたところ、アイドリングが高かったので右側のスロットルストップスクリューを大きく緩めて(左に回す)いくと、左右差が生じてバイクが明らかにガタガタと震え出す。程々のところで反対側。左側の同スクリューを緩めていくと、あるところで絶妙にシンクロするスポットがある。この時、右側のほうがバルブが閉じた状態で、左側のバルブは開いた状態から閉じた状態(つまり右側の閉じた状態)に近づいていることになる。と言うことは、このシンクロスポットに至るまで、バルブが閉じた方に近づくため、タコメーターの針は下がっていくが、右側の状態を通り過ぎるとタコメーターの下がり方がストップする(緩やかになる?)。(←右側のバルブの開度に応じた回転数を示すため?)

この作業を何度か繰り返し、1,000回転あたりになるように調整する。もちろん、先ほど述べた「シンクロスポット」を探り出す。

混合気調整

これは難しいのだけど、動画で紹介されていたとおりミクスチャスクリューを左右に大きく回すと、濃すぎて回転が下がる・薄くて回転が下がるポイントがあり、その中間あたりで回転数が高くなるポイントを探ってみた。正直、あまりピンと来なかったけど、何となく全閉から8分の5回転ほど開いたあたりで左右ともに落ち着いた。(混合気調整はもう少し突き詰めたい)

アクセルワイヤー調整

これはまず、キャブレターに接続しているアクセルワイヤーを目視しながら、作業を行った。ロックナットを緩めて、両側ともにキャブレターの接続点を目視しながらスロットルを回してみたり、ワイヤーを直に引っ張ってみたりして、キャブレター側が引き上がるまでの遊び具合を揃えてみた。

そのうえで、スロットルを大きめに回してみて、アイドリング(1,000回転くらい)からの回転数の上昇がスムーズかどうかをみながら、重さを感じるようならどちらかがついて来ていないということなので、遊びが大きいと感じる方を小さくなるように微調整することを繰り返した。

同調作業まとめ

結果的に、振動が少ないこと、アイドリングの音が揃うこと(カタカタ音の「カタ」と「カタ」の間隔が小さくなる感覚)、回転数を上げた時の音が「トゥリュリュー」と粒が揃う感じを目指してみた。バキュームメーターに頼らない、感覚重視の調整をしてみたが、結果的にはこれまでよりも良い感覚を得られたと思う。

これまで、自宅で調整を行っていたが、今回は10mmのレンチとマイナスドライバーを持って、走っては調整、走っては調整を繰り返した。このことが良い結果につながったとも感じる。調整をしては、バイクの変化を感じながら走る。感じたことを次の調整に反映する。この繰り返しで有効な微調整を行うことができたのだと思う。

 

まとめ

週末だけの作業となったが、振り返ってみると実に1ヵ月に及ぶプロジェクトとなった。まずは分解・清掃・組み立ての作業を終えて、エンジンが無事にかかった時の喜びは一入だ。今思えば、自分でやって良かったと心から思うし、実に楽しく充実した1ヵ月間だった。週末の訪れが楽しみで、毎日が本当に充実していた。週末が近づくと、作業の手戻りがないようにイメージを膨らませ、ワクワクが止まらなかった。

そして、ひとつ一つの工程に苦労しながら、あーでもない、こーでもないと工夫を繰り返し、壁を突破することで都度大きな達成感を得られた。人によっては「安全に関わるものだからプロに任せるべき」と言われるかもしれないが、私としては自分の手で作業を終えたことで、R100RSへの愛着が増したと感じる。

さて、肝心のオイル漏れは60km程度の試走を終えて、今のところ解消されたようだ。プッシュロッドチューブの根元は乾燥したままだ。これで当分、不安なく走れる。

キャブレターの同調についても、感覚を優先する調整で良い結果を得られたことは大きな学びであり、そのスムーズな感覚に、ヘルメットの中で何度「気持ちいー!」と叫んだことか。

結果的に、様々なパーツ、工具を購入するために5万円超の費用を要したが、得られた結果の満足度は極めて高く、充実した日々を思えば、安いものだとさえ感じる。

そうそう、今回、作業の邪魔で外したアンダーカウルをそのまま(外したまま)にしてみたが、年中このままで良いかもしれない。メンテナンス性も向上したと思う。

さて、冬場を得意とするR100RS、完全復活!今冬も仕事は忙しいけど、週末にはちょくちょくR100RSで出かけようと思う。

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