ここのところ、とにかく「こいつの本領を知りたい」との思いが強く、あれこれ気になったら整備してみないと落ち着かない。
恥ずかしながら、点火のタイミングを司るというイグニッショントリガーの役割をロクに知らず、前回、オルタネーターを交換した際には、なんとなく適当に装着してしまっていた。取付時には、「回転方向に調整可能な作りになってるなぁ。意味があるんだろうなぁ。」とぼんやり考えながらも、まずは主課題の解決が先決だったので、そのままになっていた。
点火時期調整
先日、バイパスをちょっと早いペースで走りながら「なんとな〜く、全体的に力感に欠けるなぁ〜」と感じて色々と調べてみたところ、どうやらイグニッショントリガーを回転させて点火時期を調整する必要があると知った。そういえば、イグニッショントリガーを適当に取り付けたから、点火タイミングがズレてるんだろうな。
タイミングライト購入
Amazonにてタイミングライトを購入。こうしてニッチな工具類が増えていく。果たして、これから先にどのくらいの頻度で使用するだろう…。と思いながらも、整備したい衝動を抑えられない。
点火タイミングの調整
写真はないけど、タイミングライト(上の写真の赤いパーツ)を右側のプラグコードに装着。タイミングライトの電源はバッテリーから供給。すると、プラグコードから点火のタイミングを検知(被覆越しに通電のタイミングが分かるの?)して、そのタイミングに合わせてストロボライトがパッパッパッと高速で点滅する。
タイミングライトをのぞき穴に向け、エンジンを1,000回転にするとSマークが出現する。3,000回転以上にするとZマークが出現。
予めオカメを開け、イグニッショントリガーの根元にあるネジ2本を緩めておいて、Sマーク・Zマークが適正な位置(のぞき穴の切り欠きと合致)になるようイグニッショントリガーを少しずつ回転させる。
右手にタイミングライトを持ってのぞき穴を見ながら、左手でイグニッショントリガーの調整をノールックで行うため、エキパイなどに触れて火傷しないように要注意。また、イグニッショントリガーの根元のネジを緩めすぎるとせっかく調整しても、振動で狂ってしまうので、絶妙な加減が必要。
「ここっ!」という場所で、イグニッショントリガーを固定する。
本来は3,000回転より回転数を上げてもZマークはピタッとストップするはずなのだが、私の愛機では、回転数の上昇に合わせてZマークがゆるゆると上に上がっていく症状が見られた。素人の見解ではあるが、イグニッショントリガーに不良が生じており、高回転域で点火タイミングが合わなくなっている(つまり高回転域での力感に欠ける…ということ?)と思われる。
イグニッショントリガーオーバーホール
調べてみたところ、イグニッショントリガー内のスプリングが経年で伸びてしまうと、似たような症状が出てしまうようだ。ところが、イグニッショントリガーはリビルト品でも高額だったり、日本では手に入りづらかったり…なので、なんとか自力でオーバーホールするしか無い。
部品調達
イグニッショントリガーの接続カプラーがボロボロになっていたので、ホールセンサーのユニットを購入。これが高額で…。また、肝心のスプリングと合わせてパッキンも調達。
作業開始
さて、いざ作業開始!
蓋を開け、部品を取り外していく。
上の部品を取り外すために、ウォーターポンププライヤーを購入。また工具が増える…。
ホールセンサーを摘出。ところが、上の蓋が取れないため、またまた余計なスライドハンマーなる特殊工具を調達…(これは1回限りの使用で、妻にメルカリで処分された…笑)。
どうやっても外れなかったホールセンサーの蓋が、スライドハンマーを使うとほんの一度のスライドであっけなく外れた。「専用工具ってすごい」と無邪気に感心。
(今思えばブログ的に絶対必要な)組み上げの工程は、作業に没頭したため写真割愛。
まずは、外装の内部にグリスを塗る。
そして上記のように、新品のバネをセンサー側に装着して外装の中に収め外装側にバネのもう一方を引っ掛けるのだが、これが意外にもチョンと乗っているだけで外れやすく、何度かトライすることになる。先人の知恵によれば釣り糸を使うと良いとのことだったが、私はダイソーなどで売っている歯科用の探針を使って、外装の小窓から作業をしたところ、3〜4回のトライで完了できた。難しくないわけではないが、二度とやりたくないというほどでもない。
ちなみに、交換したバネは↓のとおり。上が交換前の物で下が新品。明らかに伸びているけど、そもそもそんなに張力の強いバネではなく、テンションが掛かりっぱなしだと、あっという間に伸びてしまいそう。どれくらい耐久性があるんだろう?とやや不安。
イグニッショントリガーを組み上げ、外装を綺麗にして車体に取り付ける。
タイミングライトを使って、再び調整。今度はバネを交換したからか、3,000回転以上でZマークがピタッと停止する。大成功だ。
まとめ
今回、点火時期の調整に始まり、結果的にはイグニッショントリガーのオーバーホールを実施するに至った。着手前は少し不安だった。何故なら、そもそも致命的な不具合が生じている訳ではないのに、もし万が一、イグニッショントリガーを壊してしまうとリビルト品が高額だから。やるべきかやらないべきか…悩んだものの、実際にやってみると、それほど難しいことはなく、総じて楽しめた。
ところで、オーバーホール後に力感に変化があったか?と問われると、「変わったような気がするし、言われないと分からないような…いや、でも少し力強くなったかな汗」といった感じ。微かに改善された印象はあるが、だからと言って劇的に改善された訳でもない。
とは言うものの、不具合を放置せず、先々の大きなトラブルの芽を摘むことができたと思えば、精神衛生上、これほど良いものはないと思っている。
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