CT125・ハンターカブ ブレーキメンテ!

HONDA CT125・ハンターカブ
スポンサーリンク

2021年5月にハンターカブを購入してちょうど1年が経つ。現在の走行距離は4,878kmであり、通勤のみの走行が年間3,000km程度なので、セカンドバイクの位置付けにしてはそれなりに走った印象がある。何より、軽くて軽快なことに加え荷物も乗るしタンデムもできるから、近場をメインに遠出も楽しめる。そんなハンターカブの魅力に魅了された1年だった。

思い返せば、前車PCX125では購入から何年もオイル交換以外のメンテナンスをロクにしなかったため、フロントブレーキの引きずりに悩まされた。意を決してオーバーホールをしてみたものの、思ったほどの効果を得られずに残念な思いをした。メンテナンスを怠ると、長年の汚れが蓄積し元どおりに綺麗にならないことや、グリス切れの状態が続きパーツに偏摩耗が生じるなど、良いことなどひとつもない。

PCX125 キャリパー オーバーホール
前回の投稿に書いたとおり、PCX125 のフロントブレーキが引きずっている。6年間、ブレーキフルードもブレーキパッドも交換せず、乗りっぱなしだったせいだと猛省しているところ。 ブレーキパッドを交換した翌日、ブレーキが引きずっていること...

そんな経験を通じて、早めの対策が長期的な性能維持に繋がることを学んだ私は、購入から1年が経つハンターカブのリフレッシュを目的としてブレーキメンテナンスに着手した。

スポンサーリンク

ブレーキキャリパー清掃

と、大袈裟に書き出してはみたものの、今回やったことはブレーキキャリパー前後の清掃とブレーキフルードの交換。安全に直結するブレーキだからこそ、こういう節目にきちんとメンテナンスを行っておきたい。

なお、ブレーキはとても重要なパーツなので、メンテナンスをされる際は自己責任で。不安な方は、迷わずバイクショップに依頼されることをおすすめします。

フロントの工程は以下のとおり。

  1. ブレーキパッドピンを緩める
  2. ブレーキキャリパーを車両から外す
  3. ブレーキパッド•パッドスプリング脱着
  4. 丹念に清掃
  5. グリス塗布

では、順を追って説明しよう。

1.ブレーキパッドピンを緩める

キャリパーを車両から外してしまうと、力がかけづらいため、キャリパーが車両に固定された状態で、まずはブレーキパッドピンを緩めておいたほうが良い。

つい作業を早く進めようとして、勇んでブレーキキャリパーを外してしまいがちな自分自身への戒めとしてメモしておく(今回も同じ過ちを繰り返した私…)。

2.ブレーキキャリパーを車両から外す

次に、キャリパーを車両から取り外す際、キャリパーの固定ボルトが少しだけ奥まっているため、車両を傷つけないようにエクステンションを使った方が良い。私の場合、何も考えずに作業に取りかかり、ラチェットハンドルがキャリパーに強く擦れて塗装に傷つけてしまったのでご注意を。

また、清掃の際にはキャリパーがブレーキホースでぶら下がるような状態になるが、フロントはブレーキホースとABSケーブルが束ねてあるため、ABSケーブルに無理な張力が働かないよう、キャリパー上の固定もリリースしておいた方が良い。

3.ブレーキパッド・パッドスプリング脱着

1.で緩めたパッドピンを引き抜くと、ブレーキパッド・パッドスプリングが外れる。油断するとバラバラと落ちてしまうが、慣れないうちは復旧時のためにも元の状態を確認しておくほうが安心なのでご注意を。

ブレーキパッドの残量は十分

4.丹念に清掃

キャリパーをバケツの中でじゃぶじゃぶ洗う。個人的には細かい部分も磨くので、使い古した歯ブラシがおすすめ。ブレーキダストがキャリパーやキャリパーピストンに付着しているので、これらを中性洗剤で洗い落とす。キャリパーピストンは、キャリパーピストン脱着ツールで少し露出させたり回転させると付着したブレーキダストが綺麗に洗い落とせる。

ブレーキダストが付着した様子

パッドスプリングやパッドピンも綺麗に洗うが、特にパッドピンはブレーキパッドの動きの良し悪しに関わるため入念に。常にブレーキパッドと接触しているためかパッドピンには洗うだけでは落としきれない汚れが付着しており、ピカールをつけて軽く磨いておいた。

なお、バケツで洗ったキャリパーは濡れているので、車両への取り付けは乾くのを待って行うほうが良い。雨中の走行を考えれば、濡れたまま装着しても問題はないと思うが、キャリパーの隅々が濡れた状態でブレーキダストが付着すると、余計に汚れてしまうだろうから。

5.グリス塗布

基本は取り外した逆の手順により復元すれば良いのだが、必要なグリスアップを忘れずに。まず、キャリパーピストンに薄くシリコングリスを塗る。この時、グリスをたくさんつけるとブレーキダストがこびりついてしまうので付け過ぎに注意。綿棒を使うと狭い場所での作業がはかどる。

次にパッドピンにもシリコングリスを塗っておく。上述のとおり、パッドピンが削れて段差が生じるとブレーキパッドの動きを悪くするので、グリスを塗布することで偏摩耗を防ぎたい。

最後に、ブレーキパッドの裏側にブレーキの鳴き防止のためのブレーキパッドグリスを塗布する。具体的には、キャリパーピストンとブレーキパッドの接触する箇所に塗ることで、金属同士が直接触れることを防ぐというもの。だから、2枚あるブレーキディスクの片側(キャリパーピストン側)だけ塗布しておけば良い。

以上で完了。

6.リアの注意点

リアも基本は同じ作業なのだが、キャリパーの脱着方法に関してはフロントと全く異なるため、備忘メモとして注意点を残しておく。

リアキャリパーは、❶のパッドピンによりブレーキパッドがブレーキローターを挟み込む位置に保持されることで左右の位置を制限するとともに、❷および❸のガイドピンに「刺さる(はまる)」ことで進行方向の位置を制限するというイメージ。

ボルトで車両(フォーク)にしっかり固定されているフロントキャリパーとは固定方法がまるで違う点は、大いなる学びだった。

もう少し詳しく解説する。

樹脂製のカバーを外してから❶のパッドピンを抜くとブレーキパッドが外れる。それにより左右のクリアランスが増え、キャリパーが車両右側へスライドするが、この時点でキャリパーは❷および❸のガイドピンからは抜けない(つまり外れない)。

次に❷ガイドピンの根元に見えるネジ(12mm)を緩めていくと、ガイドピンが車両から外れ、この時点でキャリパーは❸ガイドピンのみで車両に接続している。❸ガイドピンを軸にキャリパーを上方に跳ね上げ❸ガイドピンから引き抜くと、いよいよリアキャリパーがフリーになる。

❸ガイドピンは深さ(長さ)があって遊びもほとんどないのだが、❷ガイドピンとキャリパーの接続部分はゴム製の中空構造のシールにより緩く固定してある。ど素人・文系男子の予想でしかないが、❸ガイドピンを軸として、❷ガイドピンに意図的に左右および進行方向にあそびを持たせることで、制動性や操作性、耐久性に何らかの工夫が施されたのではないかと思う。

もうひとつ、次回点検のためのメモとして。

❷ガイドピンを固定しているゴム性の中空構造のシールは、引っ張ると引き抜けるのだが、引き抜いてしまうと簡単には差し込むことはできないので要注意。このシールが抜けたままだと、リアキャリパーのあそびが増大してしまい危険だ。

もし、何かの拍子に引き抜いてしまった場合、❶パッドピンを抜きブレーキパッドを外す、❷ガイドピンを車両から外す、シールを元の穴に差し込み❷ガイドピンをシールに差し込み車両に固定、ブレーキパッドを装着する…という相当な手間が発生する。

ちなみに私もキャリパー清掃後の取り付け時には構造がきちんと理解できておらず、シールを最後にはめようとしたところはまらず、試行錯誤を繰り返すうちに「先にシールをはめておかないといけないのか!」と気づき、上記の作業を繰り返した。

ブレーキフルード交換

1年前の購入時から気になっていたブレーキフルードの色。ブレーキフルードは2年を目安に交換すれば良いようで、おそらく劣化しているということはないと思うのだが、新車の割にブレーキフルードが飴色に変色していることが気になって仕方がなかった。今回、1年を節目にブレーキフルードを交換して精神衛生を保つことにした。

ブレーキフルード交換の基本

ブレーキフルード交換に関しては、たくさんのブログに記載があるので、ここではテキストのみで簡単な手順をご紹介する。大前提として、ブレーキフルードは塗装面を痛める性質があるので、作業にあたっての養生は絶対必要!

まず、事前準備として、キャリパー側ブリードプラグにフルード排出用のホース(内径5mm)・ペットボトルを装着する。

続いて、マスターシリンダータンク(以下、タンク)を解放しダイヤグラムを取り出し、古いフルードをスポイトで吸い出す。この時、底に残った古いフルードはウエスで綺麗に拭き取ったほうが良い(新しいフルードと混ざらず、タンクの底に飴色のフルードが残ってしまう)。

新しいフルードをタンクへ注入する。

これにて準備は完了。ここからは同じ作業の繰り返しになる。

  1. ブレーキレバーを握る
  2. ブリードプラグを緩める
  3. ブレーキレバーは握ったままブリードプラグを締める
  4. ブレーキレバーを離す

これを繰り返すことで、少しずつブレーキホース内の古いフルードが押し出され、排出用のホースを通ってペットボトルへ排出される。4のブレーキレバーを離すタイミングでタンク内のフルードがブレーキホース内に吸い込まれるため、タンク内の残量に注意しながら作業を繰り返すこと。万が一、タンク内に残量がない状態でブレーキレバーを離してしまうと、空気を吸い込んでしまう(エア噛みという)。そうなると圧力がかからずにブレーキレバーがスカスカになってしまい、エア抜きの作業に時間を要してしまうため、焦らず慎重に、心穏やかに作業を進めること。

数回ほどタンクに追加で給油するうちに、排出用のホースから出てくるフルードが飴色から無色透明に変化してくるので、それを目安に作業を終える。

リア側のポイント

リア側のタンクは右側サイドカバーの内部にあるのだが、車体に固定したままではタンクを解放できないため、一度、車体からタンクを外して解放作業を行う必要がある。

人によっては、フルード交換の作業にあたり解放したタンクを再び仮止めするそうだが、私の場合は面倒なので、タンクは固定せずに元のピンに引っ掛けるだけで作業を行なった(新品フルードを缶から直接タンクに入れるにはタンクを手前に引き寄せて作業する必要があるため、仮止めは面倒)。丁寧に作業を行えばフルードがこぼれてしまうということはない。

リア 交換前

リア 交換後

フロント 交換前

フロント 交換後

新車から1年が経過しただけなのでブレーキ性能に変化があるとは思えないが、これまでの懸案が解消されとても気持ちが良い!

まとめ

前後ブレーキキャリパーの清掃、前後ブレーキフルードの交換に3時間半ほどかかっただろうか。ハンターカブのメンテナンス性は総じて良いと思う。ただ、今回はリアキャリパーの構造が理解できておらず、取り外し・取り付けに少し時間を要した。

また、リアブレーキのマスターシリンダータンクにアクセスするためには、ハンターカブの悪名高き右側サイドパネルを取り外さなければならない。私の場合、すでに右爪を欠損しているおかげで何らストレスはないのだが、両爪を維持されているユーザーはくれぐれもご慎重に。

正直なところ、納車から1年・走行5,000km未満なのでキャリパーの汚れもひどくはなく、リフレッシュメンテ終了後の試走でも何ら変化を感じなかったのだが、こういうメンテナンスは予防的に行うものだと思うので、作業を終えて大満足。ハンターカブ、楽しい作業時間をありがとう!これからもよろしく!

コメント