久しぶりにSR400に乗った。
ここのところ、BMW R100RSにばかり乗っていたのだけど、R100RSはその大きなカウルのおかげ(せい)もあって噂に違わぬ「熱い」バイクであり、夏場のライドは生命の危険を感じるほど(笑)冗談抜きで、エンジンの真横に迫るつま先は「燃えてないよね?」と目視で確認するほどに熱い。いつかつま先のゴムが溶けてしまっても不思議ではない。
メッシュジャケットを着ていても、肝心の風が当たらないから涼しくない!(笑)カウルから少し手をはみ出すと一気に風が吹き込んで心地良いのだけど。
そんなこんなで、ふと思い立って「そうだ、夏場はネイキッドに限る」とSR400で出かけてみた。
出発。そしてチェックランプ点灯。
久しぶりに乗るSR400。先日、妻が外出先で二度目のバッテリー上がりに見舞われ、バッテリーを交換したばかり。そんなことだから快調だろうとキック一発!……かからない。
SR400のオーナーになって5年が経つ今、「キック一発!」からの「ドヤ顔」がルーティンとなっているのに、今朝は4回目でようやく始動した。「いけないな、もっとSR400にも乗らないと」と愛犬にそっぽを向かれたような寂しさの中、走り出した。
走り始めてすぐ、今日のSR400は何となく力感に欠ける印象を抱いた。具体的には半クラで走り出す際のミートポイントが不明瞭で、何となくいつかエンストしてしまいそうな感じ。低速ギアで引っ張っても、少しだけパワー不足な印象。ヤレにヤレ切ったR100RSと言えども、排気量はSR400の2.5倍(1,000cc)もあるから、そんなR100RSに乗りなれた体にSR400は力不足に感じられても仕方がないのかな、などと考えながら走っていた。
すると、ふとエンジンのチェックランプが点灯していることに気づいた。こりゃいかんと、自宅に向けて引き返したのだが、しばらく走るとチェックランプは消えていた。
不安を感じながらも、せっかくの休日の朝だし天気も良いから、もう少し走って帰ろうと踵を返して走り出すと、またチェックランプが点灯している。
これは只事ではなさそうだと、自宅方向に向けて走った。
緊急事態なのに…
振り返ると「なんて呑気な」と反省するのだけど、実は今日、SR400のイカした写真を撮ろうと、久しぶりにK-3Ⅱに銘玉「SMC PENTAX FA 31mm F1.8 Limited」を付けて持ってきていたのだ。
本来はまっすぐに帰宅するべきなのに、「せっかくだから」と帰宅前によく利用する撮影スポットに立ち寄ってみた。自宅から10kmほど離れている。
呑気ながらもチェックランプは気になって、エンジンが始動しなかったらいけないのでアイドリング状態のまま数枚の写真をパシャパシャと撮影。そうこうしていると急にエンジンがストールを始め、あっという間にエンジンストップ。これを最後にSR400のエンジンが始動することはなかった…。
何度かキックをするけれど、SR400は弱々しくプスン、プスンと始動する気配がない。ACCオンにしても燃料ポンプのジーっという音がしない。息絶える時も、急に「ストン」とストップしたというよりも燃料が薄まっていって徐々にストールしながらストップした感じだった。R100RSで燃料コックを開かずキャブレター内に残った燃料が燃焼して力尽きる様と同じように。こうした症状から、何となく燃料ポンプの不具合もしくは目詰まりではないかと疑ったが、出先ではどうしようもできない。
朝の始動性の悪さや走り出してすぐに感じた力感のなさといった微かな違和感は、全て思い過ごしではなかったのだと今更ながら思う。体に染み付いたSR400の乗り味・力感の記憶は間違っていなかった。
レッカーサービス
すぐに保険会社に連絡をしてレッカーサービスを利用した。待つこと40分ほどでレッカーサービスが到着。普段、自動車保険のサービスを受けることなど滅多にないが、こういう時にありがたみを感じる。
今回、初めて車両を預かってくれるサービスがあることを知った。48時間までは保険会社がサポートしてくれるらしい。修理の依頼先を決めかねていたので、預かりサービスを利用することにして、妻の迎えにより帰宅。
想定される作業の難しさや酷暑期の作業環境などを考えると、さすがに今回はセルフメンテナンスは無理だと判断し、いくつかのお店に連絡をして依頼先を決定した。
何店か連絡したところ、チェックランプが点灯した場合、診断機と接続するほうが良いらしく、この診断機がどこにでもある訳ではなく、候補となる依頼先は限られていた。候補のお店のひとつから「ちょっと立て込んでいてかなりのお時間をいただくかもしれないけど…」と言われながらも、「対応OK」との回答を得て修理をお願いすることにした。
合わせて保険会社へバイクの移動先を伝え、当日中に運搬してもらうよう手配した。
さて、修理にはかなりの時間がかかると見込まれ、当分の間、我が家からSR400が姿を消すことになる。いつもそこにいるSR400が居なくなると寂しいものだ。
予想どおり燃料ポンプの不具合なのか、はたまた全く違う箇所の不具合なのか。続報は別記事にてご報告したい。
(続報)修理完了!
さすがにプロにお願いした修理は早く(あっけなく)、別記事で報告するボリュームがないので、結果を追記しておく。
不具合の発生は2022年7月23日(土)のこと。これまで付き合いのないお店だったからか、お願いをした際には「かなりの時間をいただくことになる」と釘を刺されていたが、翌24日(日)の夕方には不具合箇所を特定し、交換部品の在庫を確保した旨の連絡を受けた。忙しい中、早急な対応をいただけて本当にありがたい。
結果、私の予想は全くハズレ、レギュレータの不具合だった。お店で別バッテリーに接続するとエンジンが始動したらしく、レギュレータの不具合を突き止めたとのこと。しかも、費用がかかるため(客の負担が増すため)診断機を通さずの初期対応。さすがプロフェッショナル。
ここで素人のニワカ解説。
一般に「レギュレータ」と呼ばれる部品は、正式には「レギュレータ」と「レクチファイア」から構成される。「整流」と「電圧制御」を主な役割としている。
具体的には、レクチファイアが発電機(ジェネレータ)で作られた交流の電気を直流に整流(変換)し、レギュレータはこの不安定な電気をバッテリーに供給しても問題のない電流・電圧に制御する。
28日(木)には作業完了の連絡を受け、29日(金)には車両を受け取ることができた。当初、数週間はかかるだろうと覚悟していたが、驚きの早さで対応を終えていただき、翌週には自宅のいつもの場所にSR400が帰ってきた。工賃・部品代で32,000円。
まだ私は試走していないが、妻によれば「ご機嫌」とのこと。
普段、セルフメンテナンスを志向する私としては、このくらいの作業なら自分でやるべきだったと反省すべきところもあるが、やはりプロに作業をお願いすると安心・迅速・快適だと再認識した。そもそも、お店の方は簡単そうに言うが、自身でトライした場合、不具合箇所の絞り込みに難航してお手上げ状態になっていたことも否定できず、お店にお願いをしたことに何ら後悔はない。感謝!
※SR400のレギュレータ交換は難しいものではないようですが、年式等によりレギュレータの型番が違うようですので、ご自身で作業をされる際、購入にあたっては十分な事前確認をお願いします。
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