KAWASAKI W800 試乗

バイク
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ここのところ、Kawasaki の旧車 W1 が気になる。

若い頃にバイクに乗っていた父親から、「カワサキのW1のプチプチした排気音は後ろを走るとホレボレするほど格好良かった」と聞いて YouTube で調べたのをきっかけに、それから時々、W1 の排気音に聞き惚れることがある。

アイドリング時には等間隔のビートを刻みながら、生き物が呼吸をするように微かに乱れる排気音。走り去りながら残すパリパリとした歯切れよい乾き切った音。野性味があってたまらなく格好良い。ありがたいことにネット上には沢山の動画がある。

特に、走り去っていく時の排気音は、1970年代生まれの私にとって、仮面ライダーやテレビドラマで聞き覚えのある音だ。「そうそう、これこれ。バイクと言えばこんな音。」という感じ。

 旧車への憧れ

XSR900を気に入っているので、もちろんすぐにという訳ではないけれど、いつかはKawasakiの旧車に乗ってみたいと思っている。Z1Z2にも憧れるけど、あまりに高額で手が届かない。だけど、最高のサウンドを奏でるW1は旧車市場でも比較的手が届きやすい。40年以上前のバイクを丁寧にメンテナンスしながら長く寄り添うバイク生活なんて浪漫だ。マイガレージがあれば言うことない。

ここのところ、旧車専門店の在庫を見ては、「いいな〜」「渋いな〜」「どんな音がするのかな〜」「でもやっぱり高いな〜」などとつぶやいている。

「いつかは」と言いながら気が早い私は、「やっぱり旧車ってメンテナンスに手間とお金がかかるのかな。それならば現行車種はどうだろう?」と考え、考えを整理する一環として、W1の子孫とも言えるW800についても調べてみた。排ガス規制で生産終了になったものと認識していたが、調べてみると今年になって復活したらしい。

 KAWASAKI W800 外観・乗車姿勢

YouTubeでは新型W800の動画も数多くアップロードされている。各種レビューには、迫力のあるサウンドだとか、W1を彷彿させるサウンドと書かれているのだが、動画を見る限り、スピーカーの限界はあるものの、どうも迫力が感じられない。

そこで、W800の展示・試乗車を調べてみると、自宅から1時間ほどのところにあるカワサキ専門店に W800 STREET の試乗車があると分かり、雨天で退屈気味な家族とともに行ってみた。

 

店頭の実車は思ったよりも小ぶりで、とても800cc(正確には773cc)もあるバイクには見えない。正直なところ、タンクがつや消しブラックなのは好みではない。また、個人的にはオールドルックな W800 にはフェンダーはメッキであって欲しいし、エンジンもシルバーであって欲しいと思う。メッキパーツが少なく全体的にマットなオールブラックで引き締まっているからなのか、思いのほか存在感がない。我が家の SR400 と変わらないくらいの車体サイズに感じる。

アイドリング音は心地よい。ノーマルマフラーとは思えないくらい低音がドッドッドッドッド…と響く。アクセルレスポンスも良く、少し捻るとヒュンッと回転数が上がる。

足付きは極めて良好。SR400 と同様に両足ともベタ付き。むしろシートが低すぎて、逆にハンドルが高く幅が広いのでドカッと座るアメリカンバイクのような乗車姿勢は意外だった。お店の方から「ハイシートにした方が良いかもしれません。そうすると SR400 とかに近い姿勢になると思います。」と言われた。ポジションについてはシートを上げるか、ハンドル位置の低い W800 CAFE にするかという選択肢があり、好みで如何様にでもなりそうだ。

 KAWASAKI W800 試乗

雨の晴れ間に試乗させていただいた。

とあるレビューには、トルクがあるのでクラッチを繋ぐだけで発進できると書いてあったが、XSR900と同じ感覚で発進しようとすると、エンスト気味になる。タイプの違う XSR900 と比較するのはおかしいが、最大トルクは XSR900 よりも25N•m 低く、車重が26kg 重いのだから発進時に XSR900 よりも回転数を上げてやる必要があるのは感覚的にもスペック面でも理解できる。

走り出すと驚くほどスムーズ。回転数を低めでシフトアップするとエンジンの存在を感じないほどに静かだった。一方で、回転数を高めに維持して低いギアで走るようにすると、マフラーから得も言われぬほど心地よい低音が響く。堪らなく心地良い。

ただ、普段 XSR900 ではある程度の速度であればギアが何速でも(4速や5速でも)思ったままに加速できるのだけど、W800 は穏やかな特性で積極的にギアを落とさないと、横着して高いギアで加速しようとしても回転数が上がらなかった。

運転はとにかくしやすい。何より足付きが抜群に良く、更に低重心だからか低速でもフラつくことはない。クラッチのミートも分かりやすいし、ギアの入りも明確。ブレーキもコントロールしやすかった。

試乗を終えて、「乗りやすく心地よい排気音を楽しむことができる」ことを体感できたものの、正直なところ今の私が買い換えることはないと感じた。

様々な制約がある中で、排気音は入念にチューニングをされたものだと思うし、腹に響くような低音は本当に心地良かった。ただ、W800の排気音は、独特な高音の破裂音が特徴のW1のものとは種類が違うと感じた。現行の規制の中で、同じ音を再現することは不可能なのだろう。

今回の記事では、そもそもカテゴリーの異なる XSR900 と比較してしまったが、当然ながら SR400  と比べればパワーにも余裕があるし、振動もうまく抑えられていて断然乗りやすい。とても良いバイクだと思う。ただ、「いつかはカワサキの旧車に」という憧れの中で、W1 に憧れて現行の W800 を選択することは「ない」という結論に至ったのである。

果たして、いつかカワサキの旧車を所有することができるのかどうかは分からない。W800 に試乗して、改めて XSR900 の思いのままに加速できる感覚やバイクそのものの質感に惚れ直しもした。

どうあれ、こうやって試乗をすることで、自分の求めるものが明確になる気がする。そういう意味で、大満足の試乗となった。

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